さまざまな食のプロにお気に入りの食器を聞く連載企画。今回は、家庭で手軽に実践できるおいしい和食で人気の料理研究家、荒木典子さんに愛用品を伺いました。「職人の手仕事でつくられたものが好き」と言う荒木さんが愛してやまないお気に入りとは。
Today's Foodie

神戸生まれ京都育ちの料理研究家。お料理上手の祖母と母の影響で食に関心のある環境で育つ。大学卒業後フランス留学などを経て出版社で料理本の編集者として働いたのち、2007年に独立してお料理の道へ。現在は書籍や雑誌の仕事を中心に、企業へのレシピ提供、料理店の監修などの仕事とともに、世田谷で和食のお料理教室を主催。
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丸い食器は見ていてホッとする。
「フリーになって最初の仕事はスタイリングでした」
プロのフードスタイリストとして活躍した経験をもつ荒木さんだけに、食器へのこだわりは並々ならぬもの。同業の友人たちと比べても好みがはっきりしているそうで、丸い器が好きなんだとか。
1.【茶碗】東哉で購入した梅模様のもの
京都の陶器屋「東哉(とうさい)」の銀座店で購入しました。私は和食器が大好きで、宗焼きが好みなので、東哉は特にお気に入りのお店なんです。
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2.【お椀】千鳥模様のもの

古い漆器は塗りの技術や漆の種類が上質で、私好み。掘り出し物を探しに骨董屋へ足を運ぶこともよくあります。このお椀も行きつけの骨董店で手に入れたもの。伝統的な和柄の千鳥模様がかわいくて、手に取るたびに塗りの美しさや繊細な筆跡にうっとりします。
3.【大皿】信楽焼
存在感のある佇まいのこちらの大皿は、信楽の陶器屋さんにいただいたものです。鍋の具材や焼いたお肉、揚げ物、サラダ……。とにかく何をのせても盛り映えするので、特に来客時に重宝しています。
4.【皿】実家から譲り受けた染付皿

料理好きだった祖母から譲り受けた染付皿です。こういう柄のお皿って、おじいちゃんやおばあちゃんのお家でよく見たという気がしませんか?目にするたびに、なんだか懐かしい気持ちになるんです。
5.【皿】赤絵の小皿
祖父宅の蔵に眠っていた九谷の小皿は、深い朱色の美しさに惹かれて譲ってもらったもの。黒や白のシンプルな食器と合わせるとアクセントになって、とっても映えるんですよ。
6.【器】四つ椀

四つ椀とは懐石用の飯椀・汁椀のことで、それぞれの蓋が器にもなる日本独自の優れもの。私の場合、お膳の上にこの4つを並べて、ふだんの食事でも使っています。出張料理教室の時は、軽くてかさばらないこの四つ椀を持ち込むことが多いですね。
7.【小鉢】東哉の向付
この向付も「東哉」で購入しました。向付とは懐石などでお刺身を盛る器。私は煮物や和え物などの副菜を盛り付けることが多いです。
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8.【箸置き】東哉で買ったものなどいろいろ
箸置きというのは気持ちを豊かにしてくれる食器だと思います。お味噌汁とご飯だけの簡素な食事も、箸置きにお箸を置いて出すだけでとても丁寧な食卓になる。
これからの季節なら、食卓を涼しげにしてくれる箸置きがおすすめ。この出目金は個性的なフォルムと愛らしい表情がお客さまや料理教室の生徒さんたちに好評で、みなさん手にとってくださいます。
9.【グラス】オールドバカラ

フランスのアンティークショップで手に入れました。最近のバカラではあまり見かけないカジュアルなつくりが私好み。お水やビールを注いで飲んでいます。
10.【弁当箱】曲げわっぱ
この曲げわっぱ、実は高校生の頃から使っています。だから、よく見るとたくさん傷があるんです、飼い犬の噛み跡とか(笑)。丈夫なので、それでもまだまだ現役。私やスタッフのまかない用弁当箱として今も活躍しています。
食器がつくる笑顔の食卓。
ずらりと並んだ丸い食器を見ていたら、なぜだかホッとして、穏やかな気持ちになりました。角のないものはそこにあるだけでリラックスを生むのかもしれません。
この丸さに加え、職人の手仕事による品が多いところも荒木さんならではのこだわりといえそう。
手作りならではの特徴をもった荒木さんの愛用品には、見ているだけでふっと肩の力が抜けるような魅力がありました。こうした食器に彩られた荒木さんの食卓は、きっと笑顔あふれる和やかなものなのでしょう。お気に入りについてうれしそうに話す荒木さんの向こうに、そこにないはずの楽しげな食事風景が見えました。
取材/板井海奈(macaroni編集部)文・構成・写真/植松富志男(macaroni編集部)