テレビ報道の第一線で40年以上走り続けてきた安藤優子さん。実は研究者の顔もあり、博士論文をまとめた著書『自民党の女性認識ー「イエ中心主義」の政治指向』をこのほど出版しました。研究を深めたのは、大学の書庫で見つけた1冊の本。安藤さん自身も感じていた違和感や息苦しさの根本にあるものが見えてきました。

「異物」からのスタート
安藤さんは大学生だった20歳のとき、アルバイトとして報道番組のアシスタントに抜擢された。男性司会者の隣で「そうですね」とうなずく係。笑顔が乏しいと視聴者から苦情の電話がかかってきた。

<家庭長>に尻もち
社会が女性に向ける曖昧な視線ーー著書ではこれを<女性認識>と呼んでいる。

安藤さんと上智大学教授の三浦まりさん(政治学)は、<家庭長>という言葉が使われた背景をこう分析する。
そこ(※中曽根内閣の行政改革)には「家庭を経営する家庭長」である女性の家庭内自助の要としての位置づけも自動的に受け継がれた。
出典:『自民党の女性認識ー「イエ中心主義」の政治指向』
「旦那さんを元気に働きに出し、子どもも元気いっぱいに学校に送り出す。高齢の親や義理の親の介護も女性が<家庭長>としてすべて『自助』で切り盛りしてくれれば、国が『公助』としてやるべき福祉予算は削られるという、つまりは経済政策だったんです。そして女性への一片のリスペクトもないまま戦略的に再生産され、今日に至ったわけです」(安藤さん)
よき母、よき妻、よき娘

いまでこそ共働き世帯が約7割となっているが、1980年代は専業主婦がいる世帯のほうが6割を超えていた。
24時間フルコミット
こうした<女性認識>は、政治の世界に色濃くあり、女性が政界に進出する障壁になっていると安藤さんはいう。

報道と背中合わせの研究
民放労連によると、2022年7月1日時点で全国の民放テレビ局の7割以上で役員に女性が1人もいない。ただ、在京のテレビ局は2022年6月、全局に女性役員が任命された。女性社員の割合は、在京の民放6局の平均で約25%だ。
著者:
小林明子
OTEMOTO創刊編集長 / 元BuzzFeed Japan編集長。新聞、週刊誌の記者を経て、BuzzFeedでダイバーシティやサステナビリティの特集を実施。社会課題とビジネスの接点に関心をもち、2022年4月ハリズリー入社。子育て、教育、ジェンダーを主に取材。