2024年6月6日にコスメの総合口コミサイト「@cosme」が「@cosme ベストコスメアワード2024 上半期新作ベストコスメ」「@cosme ベストコスメアワード2024 下半期トレンド予測」を発表しました。

前編の記事では発表内容の概要を紹介しましたが、後編では働くアラサー女性に向けた情報を深堀りしていきます。
前編の記事はこちらから
本質的に良いものを求めた結果、国産のミドルコスメが人気復活

――まずは「@cosme ベストコスメアワード2024 上半期新作ベストコスメ」についてお話を聞かせてください。今回の総合ランキングでは中価格帯の「ミドルコスメ」が健闘していましたね。アラサー世代からはミドルコスメのどのような部分が支持されたのでしょうか?
全体傾向の中でもお話ししたように価格と品質のバランスがちょうどいいというのはもちろんですが、アンケート結果(※)を見ると30代からは「買える場所が多い」というところも人気の理由となっているようです。
――忙しく働いている女性にとっては、帰り道にドラッグストアで買えるというのは大きなメリットとなりそうですね。一方で、この上半期は「AUBE」「コフレドール」といった働く女性を応援してくれるようなミドルコスメのブランド終了もニュースになりました。この、メイクアップとスキンケアの差はどこにあるのでしょうか?
メイクアップに比べてスキンケアはより肌への影響が大きいため、「しっかり良いものを見定めたい」「使い続けられるものを選びたい」という気持ちが働いているようです。また、スキンケアにおいては「成分買い」も大きなトレンドで、ミドルコスメには高級ブランドと似た成分も配合されているイメージを持っている方が多く、そこでお得感が得られます。
一方、メイクアップに関しては中価格帯ブランドの存在感や価値を生活者がいまひとつ感じ取れていないように思えます。最近では韓国コスメがドラッグストアなどに進出していることの影響もありそうです。

――たしかに、メイクアップのミドルコスメは韓国コスメも大きな競合になりますね。
スキンケアにおいてはエリクシールやソフィーナなどの大きなブランドがあり、「間違いない」「きちんと開発している」といった印象を抱かれやすいのかなとも思います。インフルエンサーの方が成分や技術情報を発信される機会も増えていて、スキンケアに関してはミドルコスメが消費者に好印象を与え始めているのではないでしょうか。

――国産ブランドへの関心の高まりもミドルコスメ人気と関わりがありそうですね。最近は韓国コスメの人気が強いイメージがあったのですが、ここにきて国産ブランドが支持を集めている背景にはどういった要素があるのでしょうか。
ユーザーのアンケートからは「自分の肌に合えば、国産か外資かは気にしない」という方が多いことが読み取れます。あくまでも自分の肌に合うものを選んだ結果、国産ブランドが多く並んだという結果のようです。
実際、今回のベストコスメには中国コスメもランクインしています。韓国コスメには新しさやビジュアルの良さが求められており、国産コスメへのニーズとは差別化されているかなと思います。

――総合10位に入った「ケイト ポッピングシルエットシャドウ」はこれまで韓国コスメで人気だった「ミュート感」が反映されたアイテムのように思いますが、こちらについてはいかがですか?
韓国コスメで人気の要素が国産ブランドに入ってきて人気を博すという流れはありそうですね。逆に韓国ブランドが日本限定色を出すことも多く、韓国ブランド側も日本人を意識して商品開発をしている部分があるのではないでしょうか。相互刺激が発生しているように感じますね。
――先ほど「ミュート感」というワードも出しましたが、盛り過ぎないメイクが人気を集めている背景は何でしょうか?
ここ最近はずっと落ち着いたメイクが流行ってはいるのですが、世の中で「無加工主義」が話題になっている中で、作りこんだ不自然さというよりは、ナチュラルに見せる文化が全般的にあると思います。
あとは、「景気が悪いとメイクが薄くなる」というのはよく言われていますね。無意識的にそういった選択をしているのではないでしょうか。
――チークで血色感を出すのはナチュラルメイクにおいても重要なポイントではありますが、チーク人気がリップの復活より遅れてやってきたのはなぜでしょうか?

投資できるお金が限られている中で、マスクを取れるようになって「何か新しいものを」と考えたときに、まずはリップを選んだ方が多かったと思います。その流れが落ち着いた後、「じゃあ次はチーク」と興味がシフトしているのではと予測しています。
2024年上半期トレンド予測「美髪課金」が的中!

――次は上半期のトレンド予測の振り返りについて詳しく教えてください。2024年上半期トレンド予測で「美髪課金」が的中していましたが、具体的にどのようなブランド、アイテムが人気でしたか?
花王の「melt」など、五感で楽しむような商品が人気を集めていました。「melt」には炭酸泡シャンプーがあって、エンタメ性があります。スキンケアではこれまでも炭酸を使ったコスメがありましたが、ヘアケアではあまりなかったですよね。
ベストコスメのベストヘアケア3位に入った「ロレアル パリ ボンドリペア 導入エッセンス」のようなプレトリートメントも特徴的です。これはトリートメント前のブースターなのですが、ヘアケアアイテムの種類が増えていることが分かります。
大人世代ならではの「バリュパ消費」に注目
――下半期のトレンド予測について、特に働くアラサー女性に深く関わってきそうなのはどちらになりますか?
「バリュパ消費」は若年層とアラサー以上でとらえ方が異なっていて、考え方をアップデートする必要があるのかなと思います。
――「タイパ」というとZ世代のイメージが強かったところから、大人世代にも徐々にその考え方が浸透してきているのでしょうか。
そうですね。ただ、「タイパ」と「時短」って同じ意味のように使われることもあり、しかし、「タイパ」には「時短」とはまた違った意味合いもあり……と、ひとくちに定義できないというのが若い世代には自然に身についているように思えますが、年齢が上がるについてそのニュアンスを理解してもらうのが難しいかもしれません。
ただ、お伝えしたいのは、「本質的な価値」を追求すると「自分がもっと楽になるんだよ」ということです。「時短」ってなんとなく罪悪感があるものだったと思うのですが、「タイパ」と言われるとポジティブな消費のイメージになりませんか?
めんどくさいとき、疲れたときに罪悪感を持って選択するのが「時短」だとすると、「タイパ」は「これが良くて、あえて選んでます」と自分を肯定してくれるような感覚になるというクチコミもアンケートで見られました。そこの部分が気持ちも変わってくるポイントかなと思います。
――たしかに、「タイパ」の方がより効率良く、賢く選択している印象があります。「時短」が忙しい中でなんとか時間を捻出しているイメージだとしたら、「タイパ」は浮いた時間をまた別の楽しいことに使えるようなイメージです。
ただ使う単語、呼び方が変わるのではなく、意識や生活にも変化をもたらしてくれる概念なのではないでしょうか。
――本質的な価値を重視するという流れでミドルコスメは今後さらに伸びていきそうですね。
そうですね、ミドルコスメの今後の伸びに期待しています。一気に景気が良くなることは無さそうですし、材料費の高騰などがまだまだ続きそうと考えると「この商品にその金額をかける価値があるのか?」というところは今後もシビアに判断されるのではないかと思います。
――大人世代は若年層に比べてコスメにかけられる金額も上がってくると思いますが、そうなると大人世代の「バリュパ消費」にはデパコスも「投資する価値があるもの」なら多く選ばれてきそうですね。
最近人気のクレ・ド・ポー ボーテのクレンジングシートは4,000円くらいするのですが、むしろ使いたいと思えるような使用感が話題になるなど、これはまさに「バリュパ消費」を代表するようなアイテムですね。
デパコススキンケアのライン使いも、最初にお金がかかりますが、成分の組み合わせの情報やさまざまな商品が世にあふれているなかで、ライン使いにすることで間違いない組み合わせになっていて選ぶ時間を短縮できるとなると、選ぶ価値があると思われ始めているようです。
メイクツールも最初にそろえる金額がかかるうえに手入れの手間も使う時の手間もかかりますが、最終的なクオリティが上がったり、一日トータルで見ると化粧崩れが防げるなどのリターンが得られるという点で注目されています。

ロージーローザの「マルチファンデパフ 2P」が総合3位に入っていることがこの流れを象徴していると思います。ツールがこんなに上位に入るのは珍しいことなんです。
「成分買い」はSNSの影響で新たなフェーズへ

――次は「おくち美活動」について詳しく教えてください。コロナ禍でオーラルケアに関心が集まりましたが、そこから少し時間を経てオーラルケアの中でもどのようなトレンドがあるのでしょうか。
ニオイケアから見た目に興味が移っていると思います。ベスト日用品1位になった「歯磨撫子 重曹歯ぬぐいシート」は今後さらに跳ねるかもしれません。今、リップメイクで「粘膜カラー」「うさぎ舌リップ」が流行っていて、粘膜カラーってどんな色? うさぎ舌ってどんな色? と考える機会も増えていると思います。
じゃあ実際自分の舌ってどんな色なんだろう……という流れで歯、舌の見た目が気になるのではないでしょうか。

――次は「旅備コスメ」について教えてください。1月1日に能登半島で大きな地震があり、防災意識が高まっているということでしょうか。
正直、継続的に「防災コスメ」「備え」といったワードが投稿され続けることはあまりないのですが、やはり一月はそういったワードがクチコミに増えました。好ましくはないことですが、災害をきっかけに防災について考える人が増えるようです。
――「旅備コスメ」であげられているドライシャンプーはこの上半期、お風呂がめんどうな時に便利という文脈でも話題になりましたね。
猛暑の対策としてドライシャンプー自体に注目が集まっていますよね。本来、衛生用品であるものが注目を集め、定番化したことで新たな使い方が生まれるという流れがあると思います。
ドライシャンプーでいえば、本来緊急時や体調を崩したときなどに使われていたものが一般的に使われるようになった……と、逆ルートをたどっているようにも思えます。
――最後に「成分フリーPick」について教えてください。酸化亜鉛フリー、グリセリングリーが例に挙げられていましたが、今後注目されそうな「○○フリー」は何ですか?
「アルコールフリー」も肌が敏感な方から注目されていて、クチコミでも少しずつ増えているように思います。去年のベストコスメ総合ランキングに入っていた「ハトムギ化粧水」はリニューアルでアルコールフリーになった点が高く評価されていました。
ただ、何の成分が何をきっかけに話題になるかというと、インフルエンサー発信のことが多いです。そういった意味で何が注目されるかはなかなか読みづらいですね。酸化亜鉛フリーもインフルエンサーさん発信です。
――今後もSNSは美容のトレンドに大きく関わってきそうですね。ありがとうございました!
値上げ、円安の影響がコスメ選びにも。本質的な価値を求める人が増加中
今回お話しを伺った中で、「本当に自分に合うもの」「本質的な価値」といったワードが頻出したのが印象的でした。「誰かがおすすめしているから」という理由でコスメを選ぶのではなく、限られたお金を何に使うかを改めてじっくり考える機会が増えているようですね。
話題になったものを次から次へと試していくのではなく、自分が持つ特徴や、アイテムに求める要素からアイテムを選択することで、良い商品に最短でたどり着きたいというニーズもありそうです。下半期もその流れが継続していくのでしょうか。忙しく働いている私たちマイナビウーマン世代でも、今後も自分らしく美容を楽しんでいきたいですね!
@cosme ベストコスメアワード2024 上半期新作ベストコスメ
集計対象期間::2023 年11 月1 日~2024 年4 月30 日
集計対象クチコミ件数: 115,316件
集計対象アイテム数: 3,806アイテム
・化粧品、美容グッズ、日用品などを対象としています。
・複数のカテゴリにまたがりクチコミ投稿されている商品は、商品性質を考慮し、主たる1 つのカテゴリに絞って集計しています。
※化粧品に関するアンケート
調査地域:全国
調査方法:Web
調査期間:2024年5月20日~21日
調査対象者:@cosmeプロデュースメンバー 女性 15-69歳(@cosmeの年代構成比に合わせて割付)
調査対象者数:6,212人
(取材・文:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部)
※この記事は2024年06月11日に公開されたものです