03.18Wed/水

LOCARI(ロカリ)

毎日続けたいから。発酵食品の基礎知識と効果的な食べ方[管理栄養士監修]

「発酵食品はカラダに良い」とよく聞きますが、実際なにが良いのか、どんな食品があるのか、生活にどうやって摂り入れたら良いか、など疑問に思うことはありませんか。今回は、発酵食品の基本知識やメリット、組み合わせ方などをお伝えします。

発酵食品とは?

picture

発酵食品とは、微生物がタンパク質や糖質を分解して生成される食品のことを言います。

例えば、味噌・ヨーグルト・酒など。味噌は麹菌が原料である大豆のタンパク質を分解して生成され、ヨーグルトは乳酸菌が牛乳の糖類を分解して生成され、酒は麹菌が米の糖類を分解し、さらに生成した糖類を酵母が分解して生成されます。

「発酵」と「腐敗」との違いってなに?

picture

「発酵」と「腐敗」は、どちらも菌のはたらきによって起こるものです。

その区別は食品、微生物、生成物の違いではなく、人間が食べられるものを作る菌のはたらきを「発酵」、食べられないものを作る菌のはたらきを「腐敗」と呼んでいます。

善玉菌として良いイメージで知られる乳酸菌でも、作用の仕方が異なると「腐敗」の原因となることも。例えば、乳酸菌が牛乳にたまって固まったものや、清酒の中で乳酸菌が増殖した場合は「腐敗」と呼ばれます。(※出典1)

ここでは人間にとって嬉しい菌のはたらきである「発酵」について解説していきます!

発酵を助ける主な微生物たち

picture

発酵食品に関わる微生物は、天然酵母などの「酵母」、 乳酸菌などの「細菌」 、麹菌(コウジカビ)などの「カビ」の3つです。

食品によって発酵の仕方が異なり、納豆・パン・甘酒などのように単独の微生物のはたらきで作られるものや、キムチ・醤油・味噌など複数の微生物のはたらきで複雑な風味が作られるものがあります。(※出典2)

では、微生物がそれぞれどんな特徴や役割があるのか、ひとつずつみていきましょう!

乳酸菌とは?

糖類から乳酸をつくる微生物の総称です。腸内で大腸菌など悪玉菌の繁殖を抑えて、腸内細菌のバランスを保つことで、便通の改善やコレステロールの低下、免疫力を高めるなどの働きがあると言われています。(※出典3)

乳酸菌はヨーグルト・チーズ・漬物・日本酒などの発酵食品の製造に使われています。特にヨーグルトでよく知られているビフィズス菌も乳酸菌の一種なのです。

麹菌とは?

酵素を分泌して糖類やタンパク質を分解する微生物。麹菌が繁殖したものを「麹」と呼び、繁殖した原料が米の場合を「米麹」、麦の場合を「麦麹」、大豆の場合を「豆麹」と呼んでいます。発酵食品を作るときには酵素の強さの違いでも麹菌を使い分けます。

例えば、味噌・醤油作りには大豆のタンパク質を分解する酵素の強い麹菌が、清酒・甘酒には米の糖類を分解しやすい酵素の強い麹菌が使われています。実は、「本枯節」と呼ばれる鰹節も麹菌の仲間による発酵食品です。(※出典4)

酵母菌とは?

アルコールを生み出す微生物で、日本酒・ビール・醤油などの製造には欠かせません。

例えば醤油の製造。使われる酵母菌は主発酵酵母と後熟酵母です。まず主発酵酵母と乳酸菌が作用して香りを生み出し、熟成期に入ると後熟酵母が風味に深みを与えます。このように2つの酵母が発酵を促すことで、香り高い深みのある醤油ができ上がります。(※出典5)

納豆菌とは?

煮大豆から糸引き納豆のネバネバ部分を生み出す微生物。ネバネバ部分にはナットウキナーゼなどの酵素や栄養素が含まれています。ナットウキナーゼは血栓溶解作用をもつと注目されていて、薬品の成分としても活用されているタンパク質分解酵素です。(※出典6)

酢酸菌とは?

エネルギー物質であるATPを生み出す微生物で、食酢の製造には欠かせません。食酢の製造ではエタノールが酸化されて酢酸が生成されるため、特に酢酸発酵と呼ばれています。(※出典7)

ほかにも、カカオ豆の発酵・キシリトール(ガムの成分として知られている)の新製法・分岐鎖アミノ酸の生成に関わると言われている菌の一種です。(※出典8)

発酵食品のメリットは?

picture

おいしさがプラスされる!

微生物が原料のタンパク質を分解して旨みを感じるグルタミン酸が増えたり、糖類を分解して甘みを感じるブドウ糖が増えたりすることによっておいしさがアップします。

例えば醤油の製造過程では、麹菌が原料である大豆・小麦に含まれているタンパク質をグルタミン酸に分解して旨みを感じ、小麦に含まれている糖類がブドウ糖に分解され甘みを感じます。(※出典9)

保存性が高くなる!

微生物がいる環境では、ある微生物がいるとほかの微生物が共存しにくくなっています。発酵食品はひとつの微生物が存在しているので、腐敗菌などの繁殖を防ぎ保存性が上がると言われています。(※出典2)

例えば、牛乳は消費期限が早く腐りやすいですが、乳酸菌で発酵したヨーグルト・チーズなどは保存期間が長くなります。乳酸菌が増えることでほかの細菌の繁殖を防いでいると考えられています。

長期間保存できると言っても、おいしく食べられる賞味期限や、これ以上は食べない方が良い消費期限を守る方が、より安全においしく食べられますよ!

消化・吸収率がアップ!

微生物の酵素の働きにより原料のタンパク質、糖類がペプチド・アミノ酸、二糖類・ブドウ糖に分解されることで、消化吸収が促されます。消化吸収が促されると体内で各々の栄養機能を果たします。(※出典10,11)

身体にうれしい効果も

picture

整腸作用

乳酸菌がプロバイオティクスとして腸内細菌全体のバランスを整え便秘を予防したり、免疫力アップの手助けをしたり、抗アレルギーの働きがあると言われています。主にヨーグルト・チーズ・漬物・日本酒などの発酵に関わっています。(※出典12)

血栓溶解作用

糸引き納豆のネバネバ部分に含まれているナットウキナーゼ(血栓溶解酵素)が血栓の主成分であるフィブリンを分解することで、血栓ができないようにする働きがあると言われています。(※出典12)

抗酸化作用

大豆発酵食品である味噌・醤油の製造工程で作られるメラノイジンが、抗酸化作用や、発がん物質を抑えたり血圧上昇を抑える働きがあると言われています。(※出典12)

分かりやすい!発酵食品の一覧

picture

調味料

醤油・味噌・みりん・酢・魚醤

ごはんのおとも系

鰹節・納豆・ぬか漬け・キムチ・豆腐よう・くさや・ピクルス・アンチョビ

乳製品

ヨーグルト・チーズ・サワークリーム

肉・魚系

飲み物

甘酒・紅茶・ワイン・ビール・日本酒・焼酎

知っているとお得!発酵食品の選び方

picture

醤油

JAS規格によって5つに分類されており熟成期間が長いものから順番に溜醤油・再仕込醤油・濃口醤油・淡口醤油・白醤油があります。熟成期間が長いほど旨み成分であるグルタミン酸が増えるので、旨みが強い。料理によって使い分けると良いでしょう。(※出典13)

味噌

完成品の色の違いによって赤系味噌・淡色系味噌・白味噌の3つに分類できます。色の違いはさまざまな要因がありますが、要因のひとつに麹の量が関わっていると言われています。熟成が進んでいる赤系味噌ほどコクとのびがあるので、お好みの濃さの味噌を料理に使うのが良いでしょう。(※出典14)

ヨーグルト

腸の粘膜を保護するためには、「乳酸菌入り」と書かれたものより「ビフィズス菌入り」の方がオススメ。どちらも善玉菌ですが、ビフィズス菌は特に酢酸を生成して殺菌力をもつと言われているためです。(※出典15)

発酵食品を生活に摂り入れる方法

picture

続けて食べましょう!

基本的に栄養機能がある食品を食べたからといって、すぐに効果を発揮する訳ではありません。日々の食事にさまざまな発酵食品を取り入れることで、中長期的に体内の環境が変わります。

朝がパンの日はヨーグルトを食べる、ご飯の日は納豆を食べる、1日1回は味噌汁を飲む、煮物を食べる、など献立を工夫して無理なく続けられるようにすると良いでしょう!

効果的な食べ方ってあるの?

発酵食品はプロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせて食べると効果的である、と言われています。プロバイオティクスとは、腸内フローラのバランスを改善して体調調節を行っている生きた菌(ビフィズス菌・乳酸菌・酪酸菌など)のことを言います。

プレバイオティクスとは、腸内善玉菌の増殖を促す働きのある食物繊維やオリゴ糖を含んだ食品のことを言います。プロバイオティクスの餌となるプレバイオティクスがあると、プロバイオティクスが活性化して効果アップが期待できるのです。

また、最近ではバイオジェニックスと呼ばれる乳酸菌生産物質も注目されています。プロバイオティクスやプレバイオティクスとはまた異なり、腸内フローラを介さずとも身体に直接働きかけると言われています。(※出典16)

プロバイオティクスとプレバイオティクスの組み合わせは、下記の項目でご紹介していきます!

食べ合わせでさらに効果を期待!

picture

ヨーグルト+蜂蜜

プロバイオティクスであるヨーグルトと、プレバイオティクスである蜂蜜の組み合わせ。ヨーグルトに含まれている乳酸菌と蜂蜜に含まれているオリゴ糖で効果アップが期待できます。朝のひと品に加えてみてはいかがでしょうか。

ヨーグルト+バナナ

プロバイオティクスであるヨーグルトと、プレバイオティクスであるバナナの組み合わせ。どちらもダイエット食品として有名ですね。ヨーグルトに含まれている乳酸菌とバナナに含まれている食物繊維で相乗効果を期待します。

味噌+キャベツ

プロバイオティクスである味噌と、プレバイオティクスであるキャベツの組み合わせ。味噌は大豆発酵食品でキャベツは食物繊維が豊富。居酒屋などでも食べられるのでオススメです。

醤油+みりん+ごぼう(きんぴらごぼう)

大豆発酵食品のプロバイオティクスである醤油・みりんと、食物繊維たっぷりのプレバイオティクスであるごぼうの組み合わせ。和食料理であれば、醤油・みりんは調味料としてよく使うので、ごぼうだけでなく人参・レンコン・玉ねぎなど食物繊維が多い食材を使用するのがオススメですよ。

チーズ(フォンデュ)+ジャガイモ

チーズフォンデュで食べる組み合わせ。プロバイオティクスであるチーズとプレバイオティクスであるジャガイモ。ほかにもチーズフォンデュに合うプレバイオティクスは、アスパラ・キャベツ・きのこ類などがあるので一緒に食べると良いでしょう。

まとめ

picture

発酵食品についての知識は深まりましたか?微生物によって作られる発酵食品には、おいしさアップ・保存性アップ・消化吸収率アップなどのメリットだけでなく、栄養機能なども期待できます。

一度にたくさん取るのではなく、日々の食事に取り入れることで、健康的なカラダを維持することができるので、今回をきっかけに発酵食品を取り入れてみてはいかがでしょうか。

<引用文献・参考文献>

※出典1 藤井建夫 「日本醸造協会誌-発酵と腐敗を分けるもの-」https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010812392.pdf

※出典2 キリン「キリン食生活文化研究所-発酵食品名鑑-」https://www.kirin.co.jp/csv/food-life/know/activity/ferment/

※出典3 厚生労働省「e-ヘルスネット-乳酸菌-」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-026.html

※出典4 消費科学研究所「日本の食文化を支える麹」 https://www.shoukaken.co.jp/pdf/science/v54.pdf

※出典5 職人醤油「酵母菌」

※出典6 日本ナットウキナーゼ協会「ナットウキナーゼ」http://j-nattokinase.org/nattokinase/

※出典7 東京農業大学「発酵食品化学研究室-酢酸菌に関する研究-」https://www.nodai.ac.jp/academics/app/fer/news/fer_topics/lab_702/

※出典8 佐古田久雄、赤坂直紀、藤原伸介「酢酸菌の新たな利用法」https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/109/3/109_147/_pdf/-char/ja

※出典9 職人醤油「醤油の原料」https://www.s-shoyu.com/knowledge/0502

※出典10 厚生労働省「たんぱく質」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf

※出典11 厚生労働省「炭水化物」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042632.pdf

※出典12 河野一世、柴田英之「日本調理科学会誌-日本食からみる発酵食品の多様性と日本人の健康―肥満を中心に-」https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/43/2/43_131/_pdf

※出典13 醤油職人「醤油の知識-醤油毎の使い方-」https://www.s-shoyu.com/knowledge/0321

※出典14 マルコメ「味噌のこと」https://www.marukome.co.jp/miso/

※出典15 森永乳業「ビフィズス菌の基礎知識」https://mainichi-nyuulife.com/material/bifidobacterium.html

※出典16 光英科学研究所「バイオジェニックスとは何か?」https://koei-science.com/biogenics.html

※上記のサイトはすべて2018-11-13参照

【監修・文】管理栄養士:合田麻梨恵
兵庫県出身。『和食』のある食卓を囲み、豊かな生活を広めるべく、和食ライフスタイリストとして活動中。おいしさ、時短、栄養バランスが整う、驚きの"1アイデア"のある『和食』をテーマにレシピから卒業する料理教室を主宰。

アバター画像
この記事のライター

macaroni(マカロニ)は「食からはじまる、笑顔のある暮らし。」をコンセプトに、レシピ動画と最新グルメニュースを毎日配信しているライフスタイルメディアです。内食・外食問わず、グルメや料理、暮らしに関する幅広い情報を楽しめます。