日本の出生数が急減し、2022年は初めて80万人を下回る見通しとなっています。加速する少子化を食い止めようと国も地方も対策に取り組んでいますが、中には「ズレた少子化対策」をする自治体も少なくないと、人口問題リサーチャーのニッセイ基礎研究所の天野馨南子さんは指摘します。そんな地元に見切りをつけているのは、20代の女性たち。何が起きているのでしょうか。
50年間で子どもが7割減
ーー2022年の出生数が統計史上最低となりそうで、小倉将信こども政策担当相は「強い危機感」を表明しました。天野さんは、地方自治体の少子化対策に「ズレ」があるとレポートで指摘しています。どういうことなのでしょう。
実際、間違った少子化対策を続けてきたために、多くの自治体が消滅までカウントダウンの状況になってしまっているのです。

人口減少が深刻な自治体では出生数を増やすため「子育て支援の充実」をアピールしがちです。「ママを応援しよう!」「ママに楽をしてもらおう!」と、とにかくママが大好きなんです。ママを応援すれば、子どもをたくさん産んでもらえると考えているからです。

卒業後に地元を去る女性たち
「社会減」について詳しくみていきましょう。2010年から2019年の10年間の総務省「住民基本台帳移動報告」のデータを分析したところ、47都道府県のうち37エリアで、男女ともに転出が転入を上回る「転出超過」(純減)となっていました。女性が純減したエリアだけでいえば38エリアにのぼります。

ーー意外です。この2県は幸福度が高い印象がありました。2020年の都道府県別の幸福度ランキングでは福井県が1位、富山県は2位、石川県は4位でしたが…

女性の純減全体の32%を占めていたのが、22歳です。大学を卒業するタイミングで地元を出ていく女性を「高学歴の女は仕方ない」と特例のようにとらえている中高年の人たちがいますが、2022年度の学校基本調査によると女性の四年制大進学率は52%で男性の58%とほぼ変わりませんから、もはや四大卒が特別に高学歴だといった実態ではないんです。
女性が東京に向かう理由


コロナ後の2021年は、総数で転出超過となったのは37エリアだった一方、転入超過となった10エリアの上位に神奈川県、埼玉県、千葉県など首都圏が並び、いずれも女性の純増数が男性を上回っていました。東京都は、男性は減ったにも関わらず、女性が転入超過したことで「社会増」となっています。

ーー人口減に危機感があるなら若い女性には地元に残ってほしいはずだと思うのですが、なぜ対応がズレてしまうのでしょう。
著者:
小林明子
OTEMOTO創刊編集長 / 元BuzzFeed Japan編集長。新聞、週刊誌の記者を経て、BuzzFeedでダイバーシティやサステナビリティの特集を実施。社会課題とビジネスの接点に関心をもち、2022年4月ハリズリー入社。子育て、教育、ジェンダーを主に取材。