「出汁を制すれば料理を制する」と言ってもいいほど、和食にとって出汁は欠かすことのできない存在です。忙しくて出汁をとる時間がないときも、あえて丁寧にとった出汁を使うことで料理に奥行きが出て、おいしく仕上がりますよ。
おいしい出汁は料理の基本

和食を語るうえで、出汁は外すことのできない大切な存在です。
昆布やかつお、しいたけなどにはそれぞれ異なるうまみ成分が含まれ、それらに調味料や食材を組み合わせることで、ひとつではなし得ないおいしさを生み出します。
そこで今回は、いま改めて知っておきたい出汁の基本をご紹介します。毎日の生活で丁寧に出汁を取り入れることで、改めて和食のすばらしさを改めて見直していきましょう。
優しい香りと風味。「かつお出汁」

味噌汁や煮物など、幅広く使われるかつお出汁。やさしい香りと風味がどんな料理との相性もいい、出汁の基本ともいえます。
かつお出汁には「一番出汁」と「二番出汁」があり、それぞれとり方が異なります。
かつお出汁(一番出汁)のとり方
・かつお節……40g
・水……1000cc
①鍋に水を入れて火にかけ、沸騰させます。
②沸騰したら火から外し、かつお節を入れて10分ほど待ちます。
③軽く濡らしたガーゼやキッチンペーパーで濾して完成です。
・火にかけたままかつお節を加えると香りが飛んでしまうので、必ず火を消してから入れてください。
・混ぜるとえぐみや雑味が出る原因になるので、かき混ぜずにじっくりと待ちます。濾す際に押したり絞ったりするのも、同様の理由で避けたほうがおいしい出汁が取れます。
かつお出汁の用途
上品な香りを生かして、お吸い物や茶わん蒸しなどに使われます。どんな食材も引き立てるやさしい味わいは、煮物や味噌汁などさまざまな料理の味を影から支えます。
力強い旨み。「昆布出汁」

力強い旨みを持つ昆布出汁。かつお出汁と比べて少々時間はかかりますが、そのおいしさなくして、和食は語れない大切な出汁です。
昆布出汁のとり方
・出汁昆布……10~20g
・水……1000cc
①昆布の表面を軽く濡らしたふきんで拭いていきます。(洗うとうまみ成分が流れ出てしまいます。)
②鍋に水を張り、昆布を入れて30~1時間ふやけるまで浸けておきます。
③中火にかけ、沸騰直前で昆布を取り出せば完成です。
・時短したいときは、昆布に切り込みを入れておくと早く旨みを抽出できます。
・昆布を入れたまま煮込むと臭みが出てしまうので、かならず沸騰直前に取り出すようにしましょう。
昆布出汁の用途
力強い旨みのある昆布出汁は、煮物や鍋物など長時間煮込む料理に適しています。
かつお出汁と昆布出汁が調和。「合わせ出汁」

昆布とかつおを組み合わせてとるのが合わせ出汁です。
上品なかつお出汁に昆布出汁が加わることで、味に輪郭が出て深みが増します。
合わせ出汁のとり方
・かつお節……40g
・昆布……20g
・水……1000cc
①昆布の表面を軽く濡らしたふきんで拭いていきます。(洗うとうまみ成分が流れ出てしまいます。)
②鍋に水を張り、昆布を入れて30~1時間ふやけるまで漬けておきます。
③弱火にかけて鍋底に細かな泡が出て、昆布が浮いて来たら取り出します。
④昆布を取り出したら一度沸騰させて火を止めます。かつお節を入れて10分おき、軽く濡らしたガーゼやキッチンペーパーで静かに濾して完成です。
・火にかけたままかつお節を加えると香りが飛んでしまうので、かならず火を消してから入れてください。
・混ぜるとえぐみや雑味が出る原因になるので、かき混ぜずにじっくりと待ちます。濾す際に押したり絞ったりするのも同様の理由でさけたほうがおいしい出汁が取れます。
・昆布は沸騰直前に取り出すことでぬめりや臭みが出るのを防ぎます。
合わせ出汁の用途
味噌汁や煮物、さらにめんつゆや鍋つゆなど、複雑で奥深い味わいが欲しい料理に使われます。
あっさりとしつつコクがある「あご出汁」

あっさりとしながらもコクがある出汁が取れるのが「あご」。あごとはトビウオのことで、長崎県や鹿児島県で水揚げされ、あごを焼いた “焼きあご” で出汁を取るのが近年のブームになっています。
あご出汁のとり方
・焼きあご……25~30g
・水……1000cc
①焼きあごを鍋に入れます。苦みが気になる場合は頭を取り除きます。水を注いでそのまま半日ほど浸けておきます。夏場で気温が上がるときは、冷蔵庫に入れてください。
②弱火にかけて湯気が立ってきたら火を止めます。そのまま5~10分置いておきます。
③軽く濡らしたガーゼやキッチンペーパーで濾して完成です。
・長時間水に浸けておくだけで出汁が出やすくなっているので、煮込む必要はありません。
あご出汁の用途
海上を飛ぶように泳ぐトビウオは身が引き締まっていて脂肪が少ないため、澄んだ甘い出汁が特徴です。
お雑煮やお吸い物、ラーメンスープなどに使うと、上品な味に仕上がります。
出汁を制すれば料理がもっとうまくなる

素材によって取り方や用途が異なる出汁。料理によって使い分けることで、素材の旨みが増し、薄味でも料理をおいしく仕上げることができます。
古くから伝えられてきた出汁の文化を改めて見直し、毎日の料理に丁寧に取り入れてみてはいかがでしょうか。