このシリーズでは、管理栄養士が季節ごとにあるお悩みの対策方法を教えます。今回は、「自律神経を整えるのに役立つ食べ物」について。自律神経に関わる栄養素や、それらを多く含む食品について解説します。コンビニで買えるおすすめの食品や、おすすめレシピもご紹介!
こんな症状感じてませんか?

季節の変わり目を感じるこの時期、生活のなかでだるさや不眠、頭痛や下痢、不安やイライラ……を感じるといった症状はありませんか?
これらは、主にストレスを原因として、「交感神経」と「副交感神経」というふたつの自律神経のバランスが崩れることによって起こる症状の一例です。心当たりがある方は、自律神経を整えるのに役立つ食べ物を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ただし、特定の食べ物を食べるだけで、自律神経が完全に整うわけではありません。栄養バランスのよい食事を、規則正しく摂ることが重要です。また、ストレスのコントロールや、睡眠に気を配ることも大切になりますよ。(※1)
自律神経を整える効果がある栄養と食べ物

GABA(γ-アミノ酪酸)
GABA(γ-アミノ酪酸)は、体内において神経伝達物資としてはたらくアミノ酸です。GABAを摂ることにより、身体を休めるときにはたらく自律神経である「副交感神経」の活動が促されることから、GABAには心をリラックスさせる作用があると考えられています。発芽玄米や、味噌や漬物などの発酵食品にGABAが多く含まれています。(※1,2)
また、中国で利用されている「ラフマ茶」とGABAを同時摂取すると、リラックス作用が増すという研究結果もあるそうです。(※3)
たんぱく質
たんぱく質の構成成分である必須アミノ酸の一部は、脳内の神経伝達物質の生成に必要です。「チロシン」は、自律神経を刺激するノルアドレナリンとアドレナリン、快感をもたらすドーパミンを作ります。また、精神を安定させる作用があるセロトニンは、「トリプトファン」から生成されます。
必須アミノ酸は体内で合成できないため、肉類や魚介類など、たんぱく質が豊富な食材をしっかり摂ることが大切です。(※4)
カルシウム
カルシウムには、身体を活発に動かすときにはたらく自律神経である「交感神経」のはたらきを抑制する作用があるため、脳の興奮をおさえるのに役立ちます。乳製品や小魚、大豆製品などに多く含まれています。
カルシウムの摂取が不足すると、骨から血液中にカルシウムが供給されるため、すぐにイライラにつながるということはありません。しかし、骨に存在するカルシウムの減少を防ぐために、普段からカルシウムを積極的に摂るようにしましょう。(※1,5,6)
ビタミンB6
ビタミンB6はアミノ酸の代謝を助ける作用があり、神経伝達物質の合成に関わる栄養素です。摂取量が不足すると、憂うつな気分が続く場合があります。
ビタミンB6が豊富な食品は、まぐろの赤身やバナナなど。とうがらしやにんにくといった香味野菜にも含まれています。また、体内で腸内細菌から合成されます。(※7)
ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促す作用があるため、効率よくカルシウムを摂るために必要です。また、神経のバランスを整える脳内の神経伝達物質である「セロトニン」を調節する作用があります。
ビタミンDは、きのこ類や魚類に多く含まれています。また、紫外線を浴びると体内で合成されるため、日光浴も大切です。(※5,8)
自律神経を整える効果がある飲み物

ココア
ココアの苦み成分である「テオブロミン」には、自律神経を調整する作用があり、精神をリラックスさせるのに役立ちます。
ココアに含まれるテオブロミンを効率よく摂るには、カカオの含有量が多く、苦みのあるものを選ぶのがおすすめです。牛乳で割って飲むと、カルシウムやたんぱく質も摂れますよ。(※9)
ホットミルク
牛乳には、セロトニンの合成に必要な「トリプトファン」が含まれています。前述した通り、セロトニンは心をリラックスさせる神経伝達物質です。
また、交感神経のはたらきを抑える「カルシウム」が豊富です。交感神経が過剰にはたらくと、イライラや不安につながります。ホットミルクをゆっくりと飲むことで、気分を落ち着かせるのに役立ちますよ。(※6)
カモミールティー
ハーブティーを飲むと心が落ち着く……という方は多いのではないでしょうか。ハーブにはさまざまな種類がありますが、自律神経を整えたいときには、カモミールティーを選びましょう。
カモミールティーを飲むと、交感神経活動の指標が低下し、リラックス感をおぼえることが実験で明らかになっています。カフェインが含まれていないため、寝る前に飲んでもかまいません。(※10)
コンビニでも買える!自律神経を整える食べ物

GABA入りのチョコレート
GABAはさまざまな食品に含まれていますが、手軽に摂りたいなら、GABA入りのチョコレートがおすすめです。「機能性表示食品」として販売されているものを選びましょう。パッケージに書かれている食べる量の目安を参考にし、食べ過ぎには注意してくださいね。
前述した通り、GABAは副交感神経の活動を促し、心を落ち着かせる作用があります。イライラや不安感をおぼえたときや、寝つけない夜に摂るとよいですよ。(※2)
ヨーグルト
ヨーグルトには、交感神経のはたらきを抑えるカルシウムが豊富です。また、精神の安定に関わる神経伝達物質であるセロトニンを生成するのに欠かせない、トリプトファンが多く含まれています。
さっとヨーグルトを摂りたい場合は、ドリンクタイプを選んでもかまいません。ダイエット中の方は、カロリーの摂り過ぎにならないよう、プレーンヨーグルトを選びましょう。(※4,5,6)
バナナ
バナナには、神経伝達物質を合成する作用があるビタミンB6が豊富です。また、微量ながらトリプトファンも含まれています。
コンビニでは、バナナが1~2本ずつ販売されていますよ。朝食や昼食をコンビニで買う際、おにぎりやパンだけで済ませるのではなく、デザート代わりにバナナを選んでみてはいかがでしょうか。(※7)
アーモンドフィッシュ
セロトニンを調整する作用があるビタミンDは、小魚に多く含まれています。コンビニの商品から選ぶなら、アーモンドフィッシュがおすすめです。
また、アーモンドと小魚の両方に、カルシウムが豊富に含まれているのもうれしいポイント。ビタミンDにはカルシウムの吸収を促す作用があるため、カルシウムを摂るのに役立つ食品です。(※5,8)
自律神経を整えるおすすめのレシピ5選
1. かじきまぐろのにんにく味噌照り焼き

フライパンで焼いたかじきまぐろに、にんにく入りの味噌だれをからめて照り焼きにするレシピです。かじきまぐろとにんにくには、神経伝達物質の合成に必要なビタミンB6が多く含まれています。また、味噌からはGABAを摂れますよ。(※7)
2. スペアリブ風肉巻き豆腐

脳内の神経伝達のために必要な必須アミノ酸を含むたんぱく質は、肉類に豊富です。カロリーの摂り過ぎが気になる場合は、低カロリーな豆腐でかさ増しするのがおすすめ。こちらは豚肉で豆腐を巻き、スペアリブ風に味付けする、ボリュームたっぷりのひと品です。(※4)
3. 鮭とほうれん草のミルクスープ

カルシウムやトリプトファンが豊富な牛乳ですが、そのまま飲むのは苦手……という方も多いですよね。そんな場合は、料理に使うと無理なく摂れますよ。こちらは鮭とほうれん草を入れる、コンソメ味のミルクスープです。鮭にはビタミンDが豊富なため、カルシウムの吸収を高めてくれますよ。(※5)
4. バナナのフレンチトースト

ビタミンB6が豊富なバナナは、そのまま食べられるのが魅力ですが、たまにはアレンジしてみてはいかがでしょうか。こちらはバナナを食パンで巻き、フレンチトーストに仕上げるひと品です。バナナをまるごと入れるため、食べごたえがありますよ。
5. スパイスココア

自律神経の調整作用があるテオブロミンが含まれているココアは、リラックスしたいときにおすすめの飲み物です。甘いおやつと合わせるなら、スパイスを加えてアレンジしてはいかがでしょうか。いつもとひと味違ったココアが楽しめますよ。(※9)
自律神経を整えるために食事をしっかり摂ろう!
ストレスがたまると自律神経が乱れてしまい、体調不良となる場合があります。自律神経を整えるには、生活習慣を見直したり、ストレスをコントロールしたりすることが大切です。
また、自律神経の調整や、神経伝達物質の合成に必要な栄養素が不足しないようにしましょう。ただし、栄養が偏ってしまうため、特定の食品だけを食べるのはおすすめできません。栄養バランスのよい食事を心がけてくださいね。
次回のテーマは「日光浴の効果について」です。
【参考文献】
※3 唾液クロモグラニンA濃度測定によるy一アミノ酪酸とラフマエキスのストレス低減効果の検証|三二 藍・石原茂正・李楊 金山・Veronica BUTTERWECK・横越 英彦
(2020/05/11参照)